少子化や生活環境の変化により、墓じまいを検討する方が増えているようです。しかし、墓じまいの費用や手続きがわからず、何から手をつけるべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、墓じまいについて以下の点を中心にご紹介します。
- •墓じまいの主な流れ
- •墓じまいで利用できる補助金制度
- •墓じまいの費用を抑える方法
墓じまいについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
墓じまいとは?
墓じまいとは、現在あるお墓を解体し、墓石を撤去して更地に戻し、墓地の使用権を返還することです。文字通り「お墓をしまう」作業であり、寺院や霊園などの墓地管理者へ土地を返すことで完了します。
ただし、お墓に納められているご遺骨を勝手に取り出すことは法律で認められていません。行政手続きと遺骨の移転(改葬)をセットで行う必要があります。
墓じまいには、お墓の清掃や管理費などの負担を軽減できる、無縁墓になる心配がなくなる、供養しやすい場所へ移せるといったメリットがあります。
一方で、親族との意見調整が必要な点や、墓石撤去費用や手続きなどの一時的な負担が発生する点には注意が必要です。
お墓を管理する継承者がいない場合、お墓が放置され「無縁墓」と判断される可能性があります。墓じまいを自身の代で行っておけば、先祖のお墓が無縁化するリスクを防ぐことにつながります。墓じまいは、家族の状況や将来の負担を踏まえ、慎重に判断することが大切です。
墓じまいの流れ
墓じまいは、具体的にどのような流れで行われるのでしょうか。また、どのような書類や手続きが必要になるのでしょうか。
●親族間で相談する
墓じまいを進める際は、まず親族間でしっかりと話し合い、事前に同意を得るようにしましょう。
墓じまいには数十万円程度の費用がかかるため、費用負担や供養方法について意見の食い違いが起こるケースもあります。
自身以外に継承者がいる場合、本当に墓じまいが適切かどうか、新しい納骨先は手元供養や永代供養でよいのかなど、互いの気持ちを共有しながら納得して進めることが重要です。
●改葬に必要な手続きや書類の確認
親族の同意を得たら、次に現在お墓がある自治体へ問い合わせ、改葬に必要な書類や手続きの確認を行います。改葬とは、現在の墓所にあるご遺骨を、別の墓所に納骨することです。「お墓のお引越し」ともいわれます。墓石を撤去した後、取り出したご遺骨をあらためて供養(納骨)する必要があるため、お墓じまいと改葬は同時に考える必要があります。
改葬の手続き方法は自治体によって異なるため、役所の窓口や自治体ホームページで最新の情報を調べることが大切です。自治体によっては費用の助成制度があるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
●墓地管理者へ墓じまいの意向を伝える
手続きの確認が済んだら、現在のお墓を管理する寺院や霊園などの墓地管理者に墓じまいの意向を伝えます。このとき、事情や理由を丁寧に説明し、理解を得ながら進めることが大切です。墓地管理者からは、ご遺骨が現在の墓地に納められていることを証明する「埋蔵証明書(埋葬証明書)」を発行してもらいましょう。
また、寺院墓地の場合は離檀料が発生することがあるため、事前の確認も必要です。
●新しい納骨先の決定
墓じまい後のご遺骨は、法律上勝手に廃棄することはできず、新しい供養先を確保する必要があります。永代供養墓や、納骨堂、樹木葬など、家族や親族に無理のない方法で、故人の想いや自身らの生活スタイルに合った納骨先を選びましょう。納骨先が決まったら、墓地管理者から「受入証明書」を発行してもらいます。
●改葬許可証を取得する
改葬のためには、現在のお墓がある自治体で「改葬許可証」を取得する必要があります。改葬許可証は、ご遺骨の移転時に必要です。自治体で「改葬許可申請書」を入手し、「埋蔵証明書」と「受入証明書」とともに提出すると、「改葬許可証」が発行されます。自治体によってはオンラインで申請書を印刷できたり、郵送対応してもらえたりする場合もあります。
●住職や石材店との打ち合わせ
行政手続きが整ったら、墓石を解体する前に閉眼供養(魂抜き)を行います。これはお墓に宿る魂を抜いて清めるための大切な儀式で、主に菩提寺の住職に依頼します。
閉眼供養が済んだらご遺骨を取り出しますが、墓石やお墓の基礎(土台)も解体し、更地に戻して墓地管理者に返還する必要があります。
ご遺骨の取り出しは自身でもできますが、かなりの力仕事になるため、事前に石材店へ依頼しましょう。寺院によっては石材店が指定されている場合もあるため、住職にも事前に確認しましょう。お墓が遠方の場合、お墓の解体工事は閉眼供養と同日に実施するのがおすすめです。
●新たな納骨先へ納骨
最後に、新しい納骨先へご遺骨を納めます。納骨の際は「改葬許可証」の提出が求められるため、忘れず持参しましょう。これで墓じまいから改葬までの一連の流れは完了です。
墓じまいにかかる費用の相場
墓じまいにかかる費用の総額は、30万〜300万円程度が相場とされています。費用は、墓石の撤去費用や新しい納骨先によって変動します。墓じまいの費用は、墓石の撤去だけでなく、取り出したご遺骨を新たな納骨先に納めるまでを含めて考える必要があります。
●書類発行の費用
改葬には「埋葬証明書」「受入証明書」「改葬許可証」「改葬許可申請書」が必要で、それぞれの発行手数料は無料、あるいは数百円〜1,500円程度必要です。費用は自治体によって異なります。
ただし、ご遺骨1体につき1通の改葬許可証が必要な点は忘れないよう注意しましょう。
●墓じまい当日のお布施
墓じまい当日には閉眼供養(魂抜き)を行い、僧侶へお布施を渡します。
- ・閉眼供養のお布施:3万~10万円程度
- ・離檀料(檀家の場合):5万~20万円程度
- ・御車代:5,000~1万円程度
- ・御膳料(食事をしない場合):5,000~1万円程度
寺院墓地の場合、檀家関係を解消するために離檀料を包むことがあります。普段の法要で包む額の2〜3倍が目安ですが、法律で義務づけられているものではありません。長年の感謝の気持ちとして渡すのが慣例です。公営墓地や民営霊園のほか、お寺でも不要なケースがあります。
閉眼供養と離檀料は、「御布施」の表書きで一緒に包んでも構いませんが、「御車代」と「御膳料」は、それぞれ別に包むのが正式とされています。
●お墓の解体・撤去・処分費用
墓石の撤去費用の相場は、1平方メートルあたり10万〜15万円です。ただし、重機が入れない山間部や狭い通路では人力作業となり、相場以上に費用が上がることがあります。
ご遺骨の取り出しを石材店へ依頼する場合は3万〜5万円の追加費用が必要です。さらに、浸水や汚れがある遺骨は洗骨(1万〜3万円)、土葬で原形が残る場合は再火葬(約3万円)が必要になることもあります。
そのほか、お墓の状況が以下のような場合は、目安よりも割高になる可能性があります。
- ・一区画に多くの石碑が並んでおり、複数の墓石を撤去する必要がある
- ・寒冷地のため、納骨室(カロート)が重厚なコンクリートで造られている
価格設定は石材店によって異なるため、複数の石材店から見積りを取って比較検討を行うのがおすすめです。なお、費用が安すぎる業者は不法投棄などを行っている可能性もあるため、注意が必要です。
●新たな納骨にかかる費用
新しい納骨先の選択によっても、墓じまいの費用は変動します。相場は以下の通りです。
- ・永代供養墓:5万~150万円
- ・樹木葬:20万~80万円
- ・納骨堂:10万~150万円
- ・手元供養:数百円~50万円
- ・新たな一般墓を建立:80万~250万円
費用を抑えたい場合、合葬型の永代供養墓や室内型の納骨堂がおすすめです。
遠方からの墓じまいの場合、親戚などの既存のお墓に一緒に納骨する方や、新しくお墓を建てて再度納骨する方(お墓の引越し)もいます。墓所によっては、現在の墓石を移設できる場合もあります。
墓じまいの補助金制度
自治体によっては、墓石の撤去費用を行政が負担してくれる場合があります。墓じまいに対する補助金を交付する自治体は8つほどと多くありませんが、公営霊園を中心に一部地域で制度が設けられています。お墓のある地域の自治体や霊園に問い合わせてみましょう。
●墓じまいの補助金の目安
補助金の額は自治体によって差があり、数万円〜20万円程度が目安です。墓地の区画面積や、墓石撤去にかかる作業内容、使用年数などによって金額が決定されます。
自治体の支援内容は、主に以下の3種類に分類されます。
- ・原状回復費用の助成(墓石の撤去、埋戻し、重機の使用料などの補助)
- ・墓地使用料の返還(前払いした使用料の一部または全額を返金する制度)
- ・改葬支援(遺骨移動の手続きや費用の補助。指定先への合祀が条件となる場合も)
- ・手元供養:数百円~50万円
- ・新たな一般墓を建立:80万~250万円
自治体によっては、補助金制度が突然終了する可能性もあります。補助金の申請手続きは、墓じまい後速やかに行いましょう。
●墓じまいの補助金制度の申し込み手順
墓じまいの補助金制度を利用するには、自治体が定める手続きに沿って申し込みます。
主な流れは次の4ステップです。
①自治体で制度の有無を確認まずは墓地のある自治体や霊園に、墓じまいの補助金・助成金制度が存在するか問い合わせましょう。
制度の存在が確認できたら、対象条件や補助額、必要書類も確認しましょう。
②必要書類の準備申請に必要な書類は自治体や申請目的によって異なりますが、主に以下が必要です。
【基本的な必要書類】
- ・墓地の返還届
- ・補助金交付申請書・交付請求書
- ・使用者の戸籍謄本
- ・墓石撤去の見積書や領収書
- ・工事前後の写真
- ・墓地の使用許可証
- ・身分証のコピー
- ・助成金振込先口座の通帳など
書類に漏れがあると審査が進まないため、何度も確認しましょう。
③必要書類を自治体へ提出墓石撤去工事の完了後、必要書類を揃えて自治体に提出します。提出後は、自治体で審査が行われ、補助金の採択・不採択が決定されます。
④補助金・助成金を受け取る申請が承認されると、事前に届け出た銀行口座へ補助金が振り込まれます。補助額は工事費用などを基準に算出されます。
墓じまいの補助金が出るタイミング
墓じまいの補助金が貰えるタイミングは、墓じまいの解体工事終了後が多い傾向にあります。
また、以下の点に注意が必要です。
- ・審査期間は自治体によって異なり、時間がかかる場合もある
- ・申請が遅れると補助金制度が終了してしまう可能性もある
- ・補助金制度のある自治体でも、タイミングによっては補助金制度を実施していない場合がある
墓じまいの補助金は、最新の情報や必要書類を事前に確認し、工事完了後速やかに申請することが重要です。
墓じまいの補助金が出ない場合
お墓のある地域の自治体に補助金制度がなく、費用を抑えたい場合、以下のような方法も検討してみましょう。●合葬タイプのお墓を選ぶ
墓じまいの費用を抑えたい場合は、遺骨がひとまとめに埋葬される「合葬(合祀)」タイプのお墓に供養し直すという方法があります。年間管理費が不要なため、お墓の維持費は必要ありません。
【合葬墓の費用内訳】
- ・永代供養料:3万~30万円程度
- ・納骨料:3万~10万円程度
- ・刻字料:3万円程度
- ・補助金制度のある自治体でも、タイミングによっては補助金制度を実施していない場合がある
永代供養料とは、墓地管理者にお墓を維持・管理・供養してもらうための費用です。納骨料は納骨時に僧侶へ渡すお布施で、刻字料は墓誌に故人の名前を記録するためのものです。
ただし、合葬は一度埋葬するとご遺骨を取り出せないため、家族や親族としっかり話し合いましょう。
●複数の業者から見積もりを取る
墓じまいのなかでも費用がかかるのが「墓石解体工事」です。費用を抑えるためにも、複数の業者から相見積もりを取って比較することが重要です。
ただし、寺院墓地や公営霊園の場合、石材店が指定されていて、相見積もりが取れない場合があります。
また、極端に安い見積もりを出す業者は、不法投棄の可能性や追加費用を取られるリスクがあるため、実績や信頼性を必ずチェックしましょう。
●メモリアルローンの活用
急な墓じまい費用を賄う方法として、メモリアルローンを利用する方法があります。
メモリアルローンとは、お墓や葬儀に関する費用に対して利用できるローンで、金利が低めに設定されているのが特徴です。銀行や信用金庫などの一部の金融機関で取り扱われています。墓じまい業者や、石材店が提携している信販系カードローンを紹介してもらうという方法もあります。
また、以下のような方法も検討してみましょう。
- ・親族で費用を分担する
- ・寺院に離檀料やお布施について相談する
まとめ
ここまで墓じまいについてお伝えしてきました。墓じまいについて、要点をまとめると以下のとおりです。
- •墓じまいをする場合は、親族間で相談後、自治体や寺院、霊園で各種書類の取得や返還手続きを行い、石材店に墓石撤去工事を依頼する。その後、開眼供養と遺骨の取り出し、墓石撤去工事を行い、遺骨を改葬先へ移し、「改葬許可証」を提出する
- •公営霊園を中心に、一部自治体が墓石撤去費や原状回復費を補助する制度を設けている
- •墓じまいの費用を抑えるには、合葬墓など供養方法の選択、複数業者で見積もりを取ること、メモリアルローンの活用が挙げられる。寺院へお布施の相談や、親族で費用を分担する方法もある
本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

