「家族やごく近しい人だけで静かに見送りたい」そんな思いに寄り添うのが家族葬です。小規模であるがゆえに、配慮すべき点や一般葬との違いを事前に把握しておく必要があります。
本記事では、家族葬のメリット・デメリットについて以下の点を中心に紹介します。
- •家族葬のメリット・デメリット
- •家族葬の主な流れ
- •家族葬にかかる費用
家族葬のメリット・デメリットについて理解するためにも、ご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
家族葬の概要
家族やごく近しい人だけで故人を見送りたいというニーズから広がったのが家族葬です。参列者を限定することで、落ち着いた環境でお別れできる反面、向き不向きもあります。ここでは家族葬の基本的な特徴と、どのような方に適している形式なのかをわかりやすく紹介します。
●家族葬とは
家族葬とは、家族や親しい親族を中心に、限られた参列者だけで執り行う小規模なお葬式を指します。参列する範囲に明確な決まりはなく、故人と縁の深い友人や知人を招くことも可能です。人員を絞ることで、落ち着いた雰囲気のなか故人をゆっくりと偲べるのが大きな特徴です。思い出を語り合いながら、丁寧にお別れの時間を過ごしたいという方に選ばれやすい形式といえるでしょう。
2000年代以降、都市部を中心に選択する方が増え、現在は全国的に広く定着しています。背景としては、平均寿命の伸びによる参列者の高齢化や、地域・職場のつながりが希薄になってきたことが挙げられます。さらにコロナ禍以降、少人数で行う葬儀へのニーズが高まったこともあり、家族葬は現代の生活環境に合った葬儀形式として支持されています。
●どのような人に向いている?
家族葬は、近しい人だけで静かに故人を見送りたいと考える方に向いている葬儀形式です。大人数で集まることを前提としないため、故人や遺族の気持ちを大切にしながら、落ち着いた雰囲気で最後の時間を過ごすことができます。例えば、身内だけで丁寧に送りたい方や、参列者が少ないことが想定されるため葬儀規模を抑えたい方、小規模でも心を込めて見送りたいと考える方に向いています。
また、故人が生前に「家族だけで簡素に」と希望していた場合にも、家族葬は願いを尊重しやすい形式です。ただし、限られた人だけで行う分、どこまで訃報を伝えるかによって周囲の受け取り方が変わることもあるため、関係性や地域性を踏まえた配慮も欠かせません。
家族葬は、故人の想いと遺族の気持ちの両方に寄り添いながら、納得のいくお別れを実現したい方にふさわしい選択肢といえるでしょう。
家族葬の概要
家族葬は小規模で行うとはいえ、必要な費用の構成や相場を把握しておくことが大切です。どの程度の費用がかかり、内訳にはどのような項目が含まれるのかを理解しておくことで、準備や予算計画が立てやすくなります。ここでは家族葬の一般的な費用相場と主な内訳について解説します。
●費用相場
家族葬の費用は、参列者の人数や式場の規模、宗教形式などによって大きく変わります。例えば、ご自宅で数名のみで行う場合は50万円前後、小規模の会館で20名程度なら100万円ほどが目安です。さらに、30名以上で一般葬に近い内容になると150万円前後まで上がるケースもあります。
家族葬は小さめの式場やコンパクトな祭壇で行えるうえ、料理や返礼品の数量も抑えやすいため、一般葬より費用が低くなる傾向があります。ただし、参列者が少ない分、香典収入はあまり期待できないため、自己負担が増える可能性も考慮しておく必要があります。
実際の費用は、会場の広さやプラン内容、追加オプションによって大きく変わるため、葬儀社が提示する見積書をしっかり確認し、必要なサービスが適切に含まれているか把握することが大切です。
●費用の内訳
家族葬の費用は、大きく「基本費用」「飲食・接待費用」「寺院への費用」の3つに分けられます。基本費用には、祭壇の設営やスタッフの人件費、棺や生花といった備品、霊柩車などの車両費、式場使用料、火葬にかかる費用が含まれます。これらは葬儀の核となる部分で、多くのプランに組み込まれている項目です。
飲食や返礼に関する費用は、通夜ぶるまいや精進落としの料理代、参列者へ渡す返礼品が中心です。ただし、家族葬では会食の席を設けないケースも珍しくありません。その場合は、事前に参列者や僧侶へ伝えておくことが大切です。
寺院への費用は、読経や戒名に対するお布施、僧侶への御膳料やお車代などが必要になります。会食を省略する場合でも、僧侶への御膳料や参列者への粗供養品を用意するなど、適切な配慮を行うとよいでしょう。
家族葬の概要
ここでは、ご逝去からご安置、葬儀社との打合せ、お通夜、葬儀・告別式までの家族葬の基本的なステップを順に解説します。
●ご逝去、死亡診断
ご逝去が確認され、医師から死亡診断を受けたら、まず葬儀社へ連絡することが初めに取るべき行動です。多くの医療機関では、遺体を長時間院内にとどめておくことができないため、数時間以内に安置場所へ移動する必要があります。
安置場所では、葬儀場や専門の安置施設を利用するケースが多いようです。また葬儀社に搬送を依頼すると、そのまま葬儀まで一貫して任せられることがあるため、家族葬に対応している葬儀社を早めに選定しておくと安心です。
病院での処置が完了する時間に合わせて寝台車の手配も必要となります。深夜や早朝でも対応可能な葬儀社もあるため、慌てずに連絡し、搬送と安置の段取りを整えていきましょう。
●ご安置
葬儀社へ連絡すると、担当者が寝台車で故人を迎えに来ます。ご遺族が同乗して安置場所へ向かうことが多いとされ、到着後は安置を整え、線香を手向けて故人を静かに迎えます。病院や施設で亡くなられた場合は、退院・退所の手続きが必要になるため、準備を始める前に葬儀社へ連絡しておくと安心です。病院に常駐している葬儀社がいても、必ずしもそこに依頼しなければならないわけではなく、家族葬に合う葬儀社を選ぶことが大切です。
安置場所は自宅・葬儀会館・火葬場付帯の安置室などが候補となりますが、それぞれ利用条件や設備が異なります。故人が安置先で数日過ごすことを踏まえ、面会が可能か、付き添いができるか、納棺のタイミングなどを事前に確認しましょう。ご家族の希望や状況に合った安置先を選択することで、落ち着いて葬儀の準備を進められます。
●家族葬の打合せ
家族葬の準備では、まず喪主を決め、葬儀社と日程、会場、予算などの基本事項を相談します。どのような雰囲気で送りたいか、必要なサービスやオプションを整理しながら進めると、希望に沿った葬儀内容を決めやすくなります。
日程を調整する際は、宗教者の都合や火葬場や霊柩車の空き状況が影響するため、早めの確認が欠かせません。菩提寺がある場合は、読経を依頼するため必ず連絡し、僧侶の予定も合わせて調整します。寺院が遠方にある場合には、僧侶手配サービスの利用も選択肢のひとつです。
葬儀内容や費用について疑問があれば、遠慮なく担当者へ相談することが大切です。見積書の内容を理解し、納得したうえで契約することで、安心して次の準備に進めるでしょう。
●お通夜
お通夜は葬儀前夜に故人を偲ぶ大切な儀式で、まずは湯灌(ゆかん)や納棺などの準備から始まります。湯灌では、故人の身体を清め、旅立ちの身支度を整えます。略式の場合は、濡れた布やアルコール綿で丁寧に拭き上げる形で行われます。身支度が整ったら白装束を着せ、棺へお納めします。
通夜の開始時刻が近づくと、会葬者の受付や会場の最終準備を整えます。家族葬では参列者が限られるため、受付や喪主挨拶を省略する場合もあり、状況に応じた進行が選ばれます。通夜では読経に続いて焼香を行い、喪主の挨拶で閉式となります。その後の会食「通夜ぶるまい」を設けるかどうかも、家族の判断で決められます。
副葬品に関する規定や訃報連絡で迷う場合は、葬儀社へ相談しながら進めると安心です。家族葬ならではの落ち着いた環境のなかで、故人との最後の夜を静かに過ごす時間となります。
●葬儀・告別式
葬儀や告別式は、故人と過ごす最後の時間を大切にする場であり、事前に流れを把握しておくと落ち着いて臨むことができます。家族葬では一般葬と同じ流れで進むことが多いものの、参列者が少ないため、弔辞読み上げや広範な接待などを省略する場合があります。
式は参列者の着席後、僧侶の読経から始まり、喪主・遺族・参列者の順で焼香を行います。弔電が届いている場合は、この時間に紹介されます。焼香後は棺の蓋を開け、別れ花を手向けて故人にお別れをします。地域によっては棺を閉じる際に釘打ちの儀が行われることもあります。
出棺後は霊柩車に続いて火葬場へ向かい、到着後に納めの儀や読経を行います。火葬が終わると、遺骨を骨壺に収める収骨を行い、その後は精進落としとして会食を行うことが多いですが、小規模な家族葬では食事の場を設けずに解散するケースもあります。
家族葬のメリット・デメリット
家族葬は、近しい人だけでゆっくりとお別れができる一方で、選ぶ際には注意すべき点もあります。静かな環境で見送りたい方に適した葬儀形式ですが、メリットとデメリットを理解しておくことが、後悔のない選択につながります。ここでは家族葬の利点と気を付けたいポイントをわかりやすく紹介します。
●メリット
家族葬の大きな魅力は、故人との時間をゆっくり確保できる点にあります。参列者が限られているため、遺族が多くの来客対応に追われることなく、落ち着いた気持ちで最期のひとときを過ごせます。親しい人たちだけで行うため、気兼ねなく思い出を語り合える温かい雰囲気のなかでお見送りできることも特徴です。
また、参列者が少ない分、飲食費用や返礼品の負担が抑えられるうえ、式場も小規模な会場を選べるため、一般葬に比べて総費用を低く抑えやすい傾向があります。さらに、家族葬は形式にとらわれず、故人や遺族の希望を反映しやすい柔軟性もあります。生前の想いを取り入れた式にしたり、出棺前の限られた時間を家族だけで過ごしたりと、個々の希望に合わせたお別れが実現しやすい点もメリットです。
●デメリット
家族葬には多くの利点がある一方で、注意しておきたい点もいくつかあります。まず、参列者を限定するため、誰に訃報を知らせるかの判断が難しくなりがちです。参列できなかった友人や知人が後に訃報を知り、「参加したかった」「知らせてほしかった」と感じることもあり、遺族への不満につながる場合があります。
また、家族葬を知らなかった人が葬儀後に自宅へ弔問に訪れることも多いとされ、対応や香典返しの準備など、想定外の手間や費用が発生する可能性があります。静かに見送りたいと願って家族葬を選んでも、結果的に負担が増えるケースもあるため注意が必要です。
さらに、参列者が少ないため香典収入が一般葬より少なくなり、葬儀費用の自己負担が増える傾向があります。香典を前提に費用計画を立てていると、後から財政的な負担が大きくなることも。家族葬を選ぶ際は、費用面、人間関係、葬儀後の対応を踏まえたうえで判断することが大切です。
家族葬の遺族のマナーと注意点
家族葬では、参列者を限定するからこそ、遺族側の配慮やマナーがとても重要になります。誰に訃報を伝えるのか、参列をどこまで受け付けるのか、挨拶は必要かなど、判断に迷いやすい場面も多いものです。ここでは、家族葬を円滑に進めるために知っておきたい遺族のマナーと注意点を解説します。
●訃報連絡
家族葬では参列者を限定して行うため、訃報を誰に知らせるかが重要なポイントになります。基本的には、故人と特に近しい親族を中心になるべく少ない範囲へ連絡することが多いようです。広く知らせてしまうと、家族葬であっても「参列すべきか」と迷わせてしまい、かえって相手に気を遣わせてしまう可能性があります。そのため、訃報連絡は必要な方に絞り、葬儀後に挨拶状などで家族葬を行った旨を丁寧に伝える方法がよく取られます。
また、故人が勤めていた会社への連絡は欠かせません。職場に対しては、家族葬であることを明確に伝え、香典や弔電を辞退する場合はその旨もあわせて案内します。会社側が対応に迷わないよう配慮しておくことで、遺族・関係者双方の負担を軽減できます。家族葬ならではの配慮を意識し、落ち着いた形で情報を伝えることが大切です。
●参列者について
家族葬と聞くと、「家族だけで行わなければならない」と考える方もいますが、実際には参列者の範囲に明確な決まりはありません。家族だけで静かに行う場合もあれば、親族や故人と深いつながりのあった友人や知人に来てもらうケースも珍しくありません。大切なのは、誰をどのようにお招きするかを、故人の生前の人間関係や遺族の想いに沿って慎重に考えることです。
参列者を限定しすぎると、「知らせてもらえなかった」と感じる人が出たり、不義理と受け取られてしまったりする場合もあります。こうした誤解を避けるためにも、どの範囲の人に声をかけるかは、形式にとらわれず柔軟な判断が大切です。
家族葬は、故人を思う気持ちを中心に据え、後悔のない見送り方を選べる葬儀形式です。故人らしいお別れになるよう、参列者の範囲は家族で話し合いながら決めていくとよいでしょう。
●喪主の挨拶は必要?
家族葬では規模が小さく、参列者も限られるため、喪主の挨拶を省略する場合もあります。ただし挨拶の有無は形式ではなく、参列者との関係性や状況に応じて判断することが大切です。配偶者や親、子どもなど身内だけで行う場合は、あえてかしこまった挨拶をする必要はなく、省略しても問題ありません。一方で、親戚や故人と縁の深い友人が参列する際には、感謝の気持ちを伝える場を設けた方が丁寧な印象になります。
喪主の挨拶は長く話す必要はなく、故人がお世話になったことへの御礼や、参列への感謝を簡潔にまとめれば十分です。2〜3分程度の短い挨拶にしておくと、喪主自身の負担も軽くなります。家族葬であっても、気持ちのこもった一言が参列者に安心感を与えるため、場面に応じて柔軟に対応するとよいでしょう。
家族葬の参列者のマナーと注意点
家族葬に参列する際は、一般葬とは少し異なる配慮が求められます。参列すべきかどうかの判断や、香典の扱い、服装の選び方など、事前に確認しておきたいポイントがいくつかあります。ここでは、家族葬に参列する側が気を付けたいマナーと注意点について分かりやすく解説します。
●参列の判断について
家族葬に参列すべきかどうかは、案内文の内容や遺族の意向を丁寧に確認することが重要です。原則として、遺族から参列の依頼がない場合は弔問を控えるのが基本的なマナーです。訃報の連絡に「家族葬で執り行う」と記載され、日程や会場の情報が明記されていない場合は、親族のみで見送りたいという意図が込められているため、参列は控えましょう。
一方で、日時や場所が明記されており、参列辞退の文言がなければ、家族葬であっても参列して問題ありません。判断に迷うときは、無理に推し量らず、遺族に直接確認することが最も丁寧です。また、遺族から参列依頼を受けた場合でも、友人を誘って複数名で参列するのは避け、必要があれば「同伴してよいか」を事前に確認しましょう。
家族葬は少人数で静かに見送ることを重視した葬儀形式のため、遺族の意向に寄り添った判断が求められます。気遣いをもって対応することが大切です。
●香典辞退の記載を確認
家族葬では、遺族が香典を辞退するケースも見られます。訃報連絡や案内文に「香典辞退」「ご厚志お断り申し上げます」などの記載がある場合は、遺族の意向を尊重し、香典を持参するのは控えましょう。同時に、供花や供物についても同様で、辞退の記載がある場合は持参しないのが礼儀です。
一方、特に辞退の文言がなければ、一般的な葬儀と同様に香典を持参して差し支えありません。家族葬は形式が柔軟な分、遺族の考え方により対応が異なるため、案内文の内容をよく確認することが大切です。
もし判断に迷う場合は、無理に推測せず、遺族へ事前に確認することで失礼のない対応ができます。遺族の負担にならないよう配慮しながら、適切な形で気持ちを伝えることが家族葬でのマナーといえるでしょう。
●服装
家族葬に参列する際の服装は、基本的に一般葬と同じく落ち着いた喪服を選ぶのがマナーです。形式が小規模であっても、故人への弔意を示す場であることに変わりはありません。特に指定がない場合は、男女ともに光沢のない黒のフォーマルウェアを着用しましょう。男性はブラックスーツに白シャツと黒ネクタイ、女性は黒のワンピースやアンサンブルが一般的です。
喪服には正喪服、準喪服、略喪服がありますが、多くの場合「準喪服」が標準とされています。「平服でお越しください」と案内された場合は、略喪服にあたる落ち着いた装いを選びます。家族葬では遺族から服装指定があることもあるため、案内文の内容や遺族の意向も確認しておくと安心です。
女性は露出の多い服装や華美なアクセサリーを避け、控えめなメイクを心がけることが大切です。落ち着いた服装選びが、故人と遺族への礼節につながります。
家族葬のメリット・デメリットについてのまとめ
ここまで、家族葬のメリット・デメリットについてお伝えしてきました。本記事の要点をまとめると以下のとおりです。
- •家族葬は、親しい人に限定して温かく見送れる一方、訃報連絡の範囲が難しく、葬儀後の弔問対応や香典収入の減少などの負担が生じることもあるメリットと注意点を理解した上で選ぶことが重要
- •家族葬は、ご逝去からご安置、葬儀社との打合せ、お通夜、葬儀・告別式へと進む一連の流れで行われる。必要な準備や確認事項を押さえながら、故人との最期の時間を大切に過ごせるよう段階ごとに進めていくことが特徴
- •家族葬にかかる費用は規模や内容により幅があるが、50万〜150万円ほどが目安である。基本費用に加え、会食や返礼品、僧侶へのお布施などが必要となるため、内訳を把握し見積内容を確認しながら準備を進めることが大切
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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